マーケティングにおいて、顧客のニーズや傾向をつかむために顧客理解を図ることはとても大切です。また、データ分析を行うときは求めるデータによって、適した分析手法も異なってきます。
この記事では、代表的なフレームワークを紹介するとともに、ペルソナやカスタマージャーニーの設定や、プロモーションなどへの具体的な活かし方を解説します。
顧客理解とは?
さまざまなフレームワークを使いこなすには、そもそも「顧客理解」とは何かを把握しておく必要があります。顧客の声を把握するための方法も含めて解説します。
顧客理解はマーケティングの基礎
顧客理解とは、売上の向上や顧客の囲い込みを行うために、顧客を理解しようとする取り組みを指します。企業側の視点だけでなく、「顧客側の視点」を取り入れることが重要であり、それによって真の価値提供につなげられるのです。
顧客がどのような意図で商品を購入したのかや、自社の商品に対して価値を抱いた部分はどこかなどを分析していくことで顧客理解を深められます。顧客理解を深めることで、顧客のニーズに沿ったマーケティング戦略を立てられるため、事業活動を行ううえで不可欠な要素だといえるでしょう。
顧客の声を把握する方法
顧客側の視点をマーケティング活動に取り入れるには、顧客理解が欠かせませんが、具体的にどのような方法を用いればよいかを知っておく必要があります。まずは、WEB調査・アンケート・グループインタビューなどを通じて、顧客のリアルな意見を取り入れてみましょう。
また、購買データを分析することも有効な手段だといえます。購買データを分析することで、1回の購入価格や購入個数はどれくらいなのか、どの時期に売上が伸びているのかなどの傾向が分かります。
購買データと購入者の属性(年齢・性別・職業・興味関心など)を照らし合わせることで、より精度の高い情報を得られます。アンケート結果などからは分からない顧客のニーズを反映させられるため、より実態に即した分析が行えます。
購買データを収集し、分析することによって顧客へのアプローチのタイミングやタッチポイントの最適化を行うことができるので、定期的に行っていくことが大切です。
顧客理解を深める4つのフレームワーク
顧客理解を深めるには、顧客データの分析が欠かせません。ここでは、効率的に顧客理解を進めるのに役立つ代表的なフレームワークを4つ紹介します。
デシル分析
デシル分析とは、顧客の購入金額が高い順にランク付けを行い、購入比率・売上構成比率を調べる方法です。デシルとは10等分を意味する言葉であり、購入金額をもとに顧客を10グループに分けて分析を行います。
各グループの購入金額を算出して、全体に占める割合を求めることで、どのグループが売上に対してどの程度貢献しているかが分かります。特に優良顧客の把握に役立つので、積極的に活用してみましょう。
RFM分析
RFM分析は、顧客をグループ分けして、ファン層を見つけるために役立つ方法です。最新購入日・購買頻度・購入金額の3つに分けることで、優良顧客を見つけられます。
この分析方法の特徴としては、来店が少し遠のいている顧客に対してアプローチをかけられる点です。RFM分析を用いることで、顧客の熱量に合わせたマーケティング施策の実行が可能となります。
セグメンテーション分析
セグメンテーション分析は、顧客の属性や特徴を似たもの同士で分ける方法です。よく使われる手法として、地理的変数のセグメントで消費データを地域や気候で分け、売れるときの条件を導き出すものが挙げられます。
この分析方法を用いることで、自社の商品に合ったターゲットの絞り込みが可能であり、的を射たプロモーション活動につなげていけるでしょう。
コホート分析
コホート分析とは、共通の属性を持っている顧客をグループ化し、長期スパンの移り変わりを調べる方法です。サブスクリプションやオンラインストアなど、消費者のリピート率をチェックする際に使われることが多い傾向があります。
オンラインコマースでコホート分析を行うには、Googleアナリティクスなどの分析ツールを用いると便利です。
顧客理解をプロモーションにつなげていこう
顧客データをもとに、各種フレームワークを利用して分析したら、実際のプロモーションなどにつなげていく必要があります。ここでは、ペルソナやカスタマージャーニーの設定、電子レシートの活用などを解説します。
ペルソナとカスタマージャーニーの設定
顧客データの分析結果をもとに、ペルソナの設定を行ってみましょう。ペルソナ(persona)とは、自社の商品やサービスを利用する典型的な顧客像を指します。
年齢・性別・居住地・職業・年収・趣味・家族構成といった属性を細かく定めていきます。自社にとっての具体的な顧客像を明確にすることで、社内での共通認識を持ちやすくなり、より効果的なアプローチを行っていけるでしょう。
ペルソナを設定する際は、漠然と来店してほしい顧客像を描くのではなく、自社の商品に合った顧客像を見つけ出すことが大切です。そのためにも、設定のもととなる顧客分析をあらかじめ入念に行っておく必要があります。
また、ペルソナを設定したら、併せてカスタマージャーニーについても考えておきましょう。カスタマージャーニーとは、顧客が抱えている課題や悩み、情報収集、商品の比較検討、購入、共有・拡散に至るまでの一連の流れを可視化することを指し、図表として示したものをカスタマージャーニーマップといいます。
顧客がどのような流れで自社の商品を見つけ出し、購入に至るかを事前に押さえておくことで、効果的なプロモーション活動につなげていくことが可能です。ただし、カスタマージャーニーは取り組み始めてもすぐに効果が得られるものではないため、中長期的な取り組みとしてとらえておく必要があります。
電子レシートも活用してみよう
購買データの収集と活用をスムーズに進めるなら、電子レシートを活用するのも一つの方法です。電子レシートプラットフォームの「iReceipt」なら、実際に商品を購入した顧客に対してリレーションを構築し、インタラクティブなコミュニケーションを行うことができます。
特定の商品を購入した方にメーカーアンケートを実施したり、NPS(ネットプロモータースコア)を実施して店舗での顧客成功体験を調査したりすることで、より深く顧客理解を深めることが可能です。
購買後も顧客とのつながりを継続できるので、さまざまなマーケティング施策の実施に結びつけられます。
まとめ
より効果的なマーケティング施策を実施していくには、顧客理解が何よりも重要です。収集した顧客データをもとにフレームワークを活用して、自社の顧客に適したプロモーションを行ってみましょう。
ペルソナの設定やカスタマージャーニーの作成を行うことで、顧客像や購買に至るまでの流れを把握しやすくなります。電子レシートも併せて導入することで、さらに効果的なマーケティング活動を行っていけるでしょう。